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泥染めの染色工程

泥染めの染色工程
泥染めは、古代から独自の進化を続けた奄美の大自然が生み出した染色方法です。
自然を尊び、自然と共生する先人からの伝統遺産。
地元で自生する植物を使う。切り出す時は10年後の再切り取りを考え幹を1m残す。
染料として煮た後のチップは、次に煮出す時の燃料に。燃えた後の灰は、伝統料理「あくまき」に使われ。
染めた染料と泥は川で洗われ大地に帰る。自然から生まれたものを無駄なく使い大地と共存。
奄美が世界に誇るSDG’s「持続可能なもの作り」です。

テー千木は奄美の方言で、車輪梅(シャリンバイ)を言う。
海岸近くに自生する常緑樹。葉が車輪のようにつき、5月に梅に似た白い花を咲かせるところに由来。

テー千木(車輪梅)をチップ状に砕き、2日間煮出します。
  一度に煮出すチップの量は600kg。煮出した後のチップは、次回の燃料になります。
 
2日間かけて煮出した液を寝かせる事で、発酵が進み染料となり、独特のトロミと匂いが発生します。  
 
  熟練の職人が素手で染料を揉み込むように何度も何度も繰り返し染めていきます。
テー千木のタンニン酸で染めた後次の染めの為石灰のアルカリで中和。
また、テー千木で染めます。
これを何度も繰り返します。
何度も染めることで赤土色の鮮やかで柔らかい色に発色していきます。
 
 
大自然の恵みが豊かな島
 
奄美は年間3000mmも雨が降り、豊かな森と大自然の海に囲まれ人間に優しい島。
3万年前の旧石器時代に人が住んでいた痕跡が発見されている。
150年前の古代層が生む湧き水は豊富で昔から生活用水として利用されてきた。
泉(方言でイジュン)。
古代層の湧き水が生んだ泥田
切り立った山の裾野にある泥田で染めていきます。泥染めに使う泥は鉄分が豊富で粒子が細かいのが特徴。
泥の鉄分とタンニン酸が反応し黒褐色へ変化します。
鉄分が少なくなると、蘇鉄の葉をいれることで鉄分を補う。
 
化石の植物と呼ばれる蘇鉄(ソテツ)
大地の贈り物、それが古代層に自生し鉄分を多く含む蘇鉄。
蘇鉄の群落を流れ濾過(ろか)された湧水は鉄分を豊富に含みます。
 
恐竜が繁栄した1億5千万年前の太古より自生する亜熱帯植物。
新しい葉の分だけ1年に2~4㎝の成長。
中国では「鉄樹」と呼ばれ、名前の由来は鉄を蘇(よみが)らせる。
 
 
仕上げは染料と泥が大地に帰ります。
 
仕上げに川で泥を洗い落とすと糸が輝き出します。
化学染料を一切使わない自然の染料は大地に戻り、いつの日か蘇ってきます。
 

泥染めは、1300年以上の歴史を持ち、自然と人類がバランス良く共存してきた循環型社会を今に伝える伝統文化遺産です。

 
染色工程の動画はこちら
YOUTUBE 奄美大島泥染め 肥後染色夢しぼり